埼玉県央4市における

「賃貸建物経営」の実態調査報告書
 
 
【第1回 平成13年度 調査】

■賃貸建物経営全般の現状と将来の見通し

■アパート・マンション等の入居率・空室率・家賃の動向と経営実態

■店舗・倉庫・ビル等の家賃の動向と経営実態

平成14年5月


以下 「賃貸建物経営」の実態調査報告書より抜粋

第 1 回 賃貸建物経営実態調査結果から学ぶ今後の指針

                           埼玉県資産経営協会 資産経営相談センター
                                   協会事務局次長  高 木 富 夫
                                     (賃貸建物コンサルタント)


1.賃貸建物アンケートにより明らかになった点と今後の対策

 会員各位にご協力いただいた今回の『第1回 賃貸建物経営実態調査アンケート』では、主に、アパート・マンションのデータが豊富に集まり、間取りタイプ別、築年数別の入居率など、今後の賃貸経営の上で、大いに役立つ報告書になっています。データを集計・分析した結果、明らかになった点と今後の対策について、以下にまとめてみました。
 始めに、間取り別入居率は、平成4年の農地の宅地並課税後に公庫を使って建てられた3LDKタイプが、その後に建てられた同タイプの安い分譲マンションに入居者が流れたため、入居率が悪化した事が分かりました。この状況は、すでに平成4年に専門家によっても指摘されております。
 築年数別では、築20年を過ぎると入居率が低下することがわかり、アパート・マンションについては、ローンを組む場合、20〜25年で考えると良いということがわかりました。また、若者にうける設備改善や、リフォーム工事も常に必要であると考えている人が多く見られました。
 アパート・マンションの場合、家賃の下落率は、3〜5年前と比較すると、0〜4%にほとんどが分布しており、結果は当初の予想より小さいものとなりました。このデータは、入居者との契約更新に役立つものと思われます。
 ロードサイド店舗・スーパーや倉庫では、3〜5年前に比べ、家賃の下落率は、新築時からの当初契約期間内であれば0〜4%にほとんどが分布していましたが、テナントの入れ替えがあった場合は、値下げ幅が大きくなっていました。今後のテナントの家賃更改には、このデータが役立つでしょう。なお、賃貸建物経営の入居率アップの為の詳しい対策は、情報通信8号に掲載いたしましたので、ご参考にして下さい。
 次に、借入金等については、プライバシー問題も生じるため、地区内での金利情報の話し合いがまったくなされていない事がわかりました。借入金利が平均金利より高い場合は、今回のデータを有効に利用し、銀行と交渉して金利を引き下げて下さい。(詳しくは協会事務局までご連絡下さい。)
 また、相続税対策のやり過ぎと土地価格や家賃の下落により、借入金の負債が多すぎ、重荷であると感じている人が、21.7%もいることがわかりました。この状況は、金利上昇局面になるまでに改善しなければなならない問題です。

2.賃貸建物市場としての埼玉県央の将来展望と賃貸建物アンケートの有益性

 2010年予定の高崎線・宇都宮線の東京駅乗り入れが実現すると、都心への通勤はますます便利になり、現在都心3区で次々と着工している大型オフィスビルの完成とも相まって、東京本社一極集中通勤スタイルは、さらに顕著になると思われます。
 また、現在ウォーターフロントに次々と着工しているファミリータイプの大型分譲マンションは、小中学校の用地問題で、いずれは受け入れ不可能になると言われています。(広い学校用地費用を分譲価格に上乗せできないため。)このような状況から、現在の不動産不況の中でも、埼玉県央地域は、県内の他の地域や、北関東の都市部と比べても恵まれた地域であり、今後においても、不動産不況の荒波を被ることが少ない地域と言えます。
              (取材協力:JR大宮駅・江東区)

 しかし、これから吹くであろう時代の風向きは、まったくわかりません。風向きをより早く知るためには、より大きな帆を掲げ、風をとらえなくてはなりません。このようなアンケートによって多くの情報を共有することは、すなわち、大きな帆を掲げることになるのです。大きな帆で、時代の風向きを正確にとらえ、間違いのない賃貸経営に向け進んでゆきたい これが協会会員の願いなのです。
 
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発行

 埼玉県資産経営協会・賃貸建物部会

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